遺贈寄付セミナーを開催しました
2月27日に「あなたの意志を遺贈寄付セミナーと言う形で未来へつなぐ」
というテーマで、遺贈寄付セミナーを開催しました。
この事業は、一般社団法人東近江三方良し基金との共催です。
「遺贈寄付」という、あまり聞きなれない言葉ですが、今、日本では
40歳以上の約21%が資産の一部を寄贈として寄付することに関心があるといわれます。
人生の終末において何らかの形を残そうと考えておられる方が多いようです。
第1部の講師の山北洋二さんは、長年あしなが育英会で活動されていて、数百件の遺贈を
取り扱われた経験をお持ちです。
遺贈寄付とは、①遺言による寄付 ②相続財産からの寄付 ③信託による寄付 をいいます。
事例としては、
①教員であった女性が退職後に外国人の子ども達に日本語を教えていたが、亡くなられた。
独身で子どももいなかったため、実弟の相続財産から200万円を活動されていた団体へ寄付された。
このお金は同会の子ども達のバスハイクのバス代として活用された。
②女性は顔にできる癌で、五感障がい,容貌が大きく変わり毎日落ち込んでいた。
ご主人はがん患者に役立てて欲しいと相続財産30万円を財団に寄付をされ、
財団ではそれを元に「がん基金」を創設して、がん患者会の立ち上げ資金として3団体に助成した。
助成を受けた団体の報告会で、「珍しい箇所のがんで、がん患者会に行っても同じ悩みを
分かち合える人がいなかったり、基金のきっかけで新しい患者会が発足した」などの意見が出ていた。
1人のがん患者の悩みの相続寄付が、多くのがん患者の心のケアを実現できた。
など、多数の事例を聞きました。
海外との比較ではアメリカが2兆4000億円、イギリスが2660億円、
日本は遺贈寄付の統計がないので相続の10%としても776億円と規模感が違います。
遺贈寄付が広がっていない理由としては、寄付者のほうは遺言を書くという心理的抵抗、
遺言作成までの手間ひま、そして相続手続き事務の負担があげられます。
寄付先の課題としては、遺贈寄付に関する知識と意思決定(遺贈を受けると決めるのか)、
遺贈寄付者とのコミュニケーション、受けた後ではその実務の煩雑さ上げられています。
第2部では遺贈寄付の知っておきたいこととして、税理士の江波千佳さんからお話いただきました。
相続が起こった時の手続きの流れや、相続の範囲、相続税がかかる場合、寄付と遺贈寄付の
税務上の違いなどを聞きました。
課題もありますが、現在の社会の現状として遺贈寄付は広がるでしょうから、
寄付をするほうも受ける方も準備を進めておくことは大切ですね。