今回は、NPO法人愛のまちエコ倶楽部の設立20周年という節目に、事務局を務める園田由未子さんを訪ね、その歩みとこれからについてお話を聞きました。
市民が主役のNPO法人愛のまちエコ倶楽部、20年の物語

NPO法人愛のまちエコ倶楽部の拠点は「あいとうエコプラザ菜の花館」です。その拠点がある愛東地区を中心に菜の花を育てて油を搾り、廃油をBDFというバイオ燃料に変え、持続可能な社会づくりを支える活動を行ってきました。これらの活動はリサイクルや環境保全にとどまらず、人と地域、そして未来へと続く大きな循環の物語です。
原点は、琵琶湖を想う住民の活動から
「私たちの活動のルーツは、約40年前の『石けん運動』にあるんです。」と、園田さんは語ってくれました。
当時、琵琶湖の水質汚染が問題となる中、原因の一つとされた合成洗剤の使用を控え、家庭で出る廃食油でせっけんを作ろうという住民運動が地域に広がりました。また、その後集まった廃油をエネルギーとして活用するために、バイオディーゼル燃料(BDF)の製造にも繋がっていきます。
東近江市での菜の花エコプロジェクトの実践の中心拠点として、この菜の花館ができて20年。菜の花を育て、油を搾り、地域で出た廃油を回収して、再びエネルギーやせっけんへと再生させます。その活動から生まれた収益は、地域に還元されたり、次の活動を支える元手になります。住民たちの小さな想いから始まった活動は、この地域に欠かせない確かな循環の輪を形作っています。

「なりわい」を未来へ。農業の明日を支える挑戦
「20年という月日を重ねられたのは、市民、農家、行政、そして私たちNPOが、それぞれの立場で力を合わせてこられたからだと思います。」その言葉には、多くの人々とのつながりへの感謝がありました。
その一方で、農業の担い手不足という、多くの地域が直面する困りごとがすぐそこにあります。エコ倶楽部は、この現実から目をそらしません。農業体験や農家民泊などを通じ、地域と外の人々を繋ぎ、新たな「なりわい」を生み出す挑戦を続けています。
「ただ体験して終わり、ではなく、本当にここで農業を仕事にして暮らしていく。そんな人たちを増やしたいんです。昨年は、私たちの仲介で都市部から来た方が体験を経て、実際に地域の農業法人に雇用されました。」
このことは、地域の未来を繋ぐ、重要な役割を担っていることの証であると感じました。


次の20年へ。企業や地域と共に描く、新たな協働のかたち
これからの展望を尋ねると、園田さんの言葉に一層力がこもります。「今後は、これまで以上に『企業』の力もお借りしたいと考えています。例えば、私たちがもみ殻から作る『燻炭(くんたん)』は、地球温暖化の防止にも貢献できるのですが、その価値を企業に応援していただく。また、社員食堂でくん炭を利用してつくった農産物を使ってもらう。そうした形で、企業も地域づくりの仲間として関わっていただくのが理想です」。さらに、移住や就農の入り口となっている交流拠点「だれんち」を、地域の食材を活かせる加工所に改修する計画も進んでいるそうです。「私たちの活動の入り口はたくさんあります。まずは気軽にこの施設へ足を運んでいただき、この取り組みを知ってほしい。どんな小さな関わりでも、それが私たちの活動を支える大きな力になります」。
20年という歴史を礎に、愛のまちエコ倶楽部は、これからも地域と共に、未来へ続く循環の輪を描き続けていきます。




